ゴルフスイングにおいてヘッドスピードを最大にすることを妨げるロスとは?【真中幾造のゴルフ理論 飛ばしの法則03-1】
真中幾造のゴルフ理論 飛ばしの法則03-1 3歩進んでも1歩下がる力が誰でも働いている
女子プロゴルファーの平均ヘッドスピードは、40m毎秒前後だと言われています。
また、一般男性の平均ヘッドスピードも同じく40m毎秒前後と言われています。
明らかに一般男性の方が体格も筋力も上回っているのに、なぜクラブを振るスピードが変わらないのでしょう?
今回は力のロスについて考えたいと思います。
回転するイスに座っています。
体を捩じった状態から足を地面から浮かせ、上半身の捩じり戻しでクラブを振ればどのような動きになるのでしょう?
これでは、クラブを正面で振ることはできません。
なぜ、イスが逆に回転するのでしょう?
この模型にはゴムが取り付けてあり、捩じるとこのように回転する仕組みになっています。
人間の上半身と下半身をイメージできます。
捩じった状態で手を離すと、上の丸太は画面右側に回転していますが、正面に戻ることはありません。
また、下の丸太は反対に左側に回転し、下の丸太も正面ではありません。
ゴムは片方の丸太だけを引っ張っているのではなく、上下の丸太を引っ張っているのです。
足を地面から浮かせているからだと思われるかもしれませんので、足を地面に下ろします。
実際のスイングでは気付いていないかもしれませんが、腕の動きに対して上半身は右回転の力、また上半身の捩じり戻しには腰の右回転の力。
では、逆の力が働くと速度にはどのようなロスが生じるのか実験してみましょう。
手に持っているレール付きの滑車は重さが400gあり、下の黒い滑車は重さが200gあります。
重さは2対1の割合です。
まず、重い滑車を一定の位置まで引っ張ります。
ゴムの力で滑車が移動する仕組みになっています。
手を放した滑車の移動距離はこの長さです。
今度は同じく2分の1の重さの滑車を引っ張ります。
手を放した滑車が停止した距離は、ほぼ2倍の距離になっていますので、滑車が移動する距離は重さに反比例することが解ります。
さて、土台となるレールの上に2つの滑車を重ねて置きました。
また、上の滑車も下の滑車の上を移動することができます。
下の滑車にはゴムが取り付けてあり、上の滑車を一定の位置まで引っ張ります。
では、本題の実験です。
この状態から手を離すと、滑車はどのような動きをするのでしょう?
想像できますか?
滑車がどのような動きをしているか、分かりましたか?
それだけでしょうか?
上の滑車は画面右方向に、下の滑車は画面左方向に移動しています。
ゴムの縮む力は2つの滑車を、相反する方向に引っ張っているのです。
では、この実験にはどんなロスが生じているのか、下の滑車が逆移動しないよう固定しておきます。
下の滑車を固定させない時の上の滑車の移動距離を確認しますが、実験には誤差が生じるため5回行った平均値を取ります。
下の滑車を固定させない時の上の滑車の平均移動距離は42㎝となりました。
下の滑車を固定した時の移動距離は50㎝ですから、ロスが8㎝生じています。
ところがそれだけではありません、下の滑車は逆に移動しています。
上の滑車は逆移動した滑車の上に載っているのですから、上の滑車は画面右に42㎝の移動ですが、下の滑車は画面左方向に7㎝の移動ですから、上の滑車の実質移動距離は35㎝という事になります。
土台となる滑車が逆移動することは、相当のロスが生じると理解できます。
さて、人間の体も下半身の上に上半身が、上半身の上には腕がついています。
上下の丸太にゴムが付いた模型です。
仮に丸太の重さの比が先ほどの滑車と同じ1対2だと仮定すれば、上の丸太は画面右に42の回転速度、下の丸太は画面左に7の回転速度と仮定することができます。
上の丸太は下の丸太の上に載っているのですから、差し引き35の回転速度となります。
下の丸太を固定するという事は、回転速度を1.4倍に増加させることが理解できます、
つまり、逆回転する各体を固定させていけば、クラブは最大限の速度が得られるということです。
では、固定させるとはどういうことなのか?
それは、次回・・・。
今回のまとめ
・スイングスピードを最大にするためには、ロスとなっているスイング方向とは逆方向に働く力を固定させることが重要である。